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地図に彩る魔女様の唄

花月小鞠のYouTubeチャンネル月子堂にて使用した台本です。

ボイスドラマはこちら

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配役 ♂1♀2

所要時間 ~15
 


登場人物
エルナ 

 好奇心旺盛なゆるふわお嬢様。よくマックスの元へこっそり行く。
マックス 

 町外れに住む凶悪顔の男。押しに弱い。
リーゼロッテ 

 ちょっぴり偉そうな魔女様。時々黒猫になる。たいして役に立たない魔法が使える。


あらすじ
エルナは大きな屋敷に住むお嬢様。

そんなエルナは、町外れの凶悪顔のマックスの元へ度々訪れる。

 

「ここはお前みたいなお嬢様の来るような場所じゃない」

その言葉を聞かず、エルナは瞳を輝かせて言った。

「わたし、魔女様に会いたいの」
 


役表

エルナ:
マックス:
リーゼロッテ:



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【町外れの倉庫的な場所】


 エルナがマックスの元へ駆け寄る。

エルナ 「マックス!」

マックス「(重いため息)」

エルナ 「あら、どうしたの?」
 

マックス「何度も言ってるが、ここはお前みたいなお嬢様が来るような場所じゃない」
 

エルナ 「わかってるわ。だから屋敷のみんなに気付かれないように来てるの」
 

マックス「来るなって言ってんだよ」
 

エルナ 「それは嫌よ」
 

マックス「お前なぁ」
 

エルナ 「だってここに来ると刺激的なんだもの。
     つまらない日々に刺激を求めて何が悪いの?
     誰にも止める権利はないはずよ」


マックス「お前がいいとこのお嬢様じゃなかったら誰も止めたりしねぇよ。
     お前に何かあったとして、責められるのはこっちだぞ」


エルナ 「大丈夫よ。何かあったりしないように、あなたが守ってくれるでしょう?」


マックス「甘えたこと言ってんじゃねぇよ。
     自分の身も守れないようなお嬢様は、大人しく屋敷で紅茶でも飲んでろ」


エルナ 「まあ、失礼ね。それしかしてないみたいじゃない。刺繍もするわ」


マックス「そうかよ」


エルナ 「そんなことより、今日は付き合ってほしい場所があるの」


マックス「行かねぇぞ」


エルナ 「わたし、魔女様に会いたいの」


マックス「帰れ」


エルナ 「話を聞いて! 隣町の奥に暗くてじめじめした森があるじゃない?
     そこに魔女様が住んでるって噂を聞いたのよ」


マックス「魔女ねぇ」


エルナ 「あ、信じてないわね?」


マックス「当たり前だろ」


エルナ 「でもいるって聞いたのよ。確かめるためにも一緒に行きましょう」


マックス「ひとりで行くんだな」


エルナ 「いいの?
     わたしに何かあったらわたしの家族はあなたのところに来るのよ」


マックス「何でだよ」


エルナ 「引き出しにしまってる日記にあなたと会ってること書いてるもの」


マックス「証拠残してきてんじゃねぇよ。気付かれないように来てるんじゃねぇのか」


エルナ 「いざという時のためよ。それで、もちろん一緒に行ってくれるでしょう?」


マックス「……」


エルナ 「そんな凶悪な顔をしても無駄よ。行きましょう」


マックス「……顔は元々だ」

【暗くてじめじめした森】

エルナ 「まぁ、この森、暗くて怖いわね」


マックス「怖がってなさそうに言うんじゃねぇよ」


エルナ 「怖いのは本当よ。わくわくする気持ちの方が大きいだけ」


マックス「はいはい。そうですか」


エルナ 「あっ! 見て、真っ赤な花があるわ!」


 木々の隙間にあった赤い鮮やかな花に駆け寄るエルナ。

 


マックス「おい、不用意に触るんじゃ――」


エルナ 「まぁ! 見て、マックス! わたし浮いてるわ!」


マックス「(重いため息)」


エルナ 「うーん。でも少ししか浮かないみたいね。

     これ以上、上にいかないわ」


マックス「浮こうとすんな。ほら、こっち来い」


エルナ 「なぁに? こうやって腕を掴まれて運ばれると犬の散歩みたい」


マックス「犬は浮いてねぇだろ」


エルナ 「確かにそうだわ」


マックス「向こうに水溜りがある。そこで花に触った手洗え」


エルナ 「魔法って洗えば落ちるの?」


マックス「知らん」


エルナ 「無責任ね。わかったわ」


 エルナが水溜りで手を洗う。
 そして地面に着地する。

 


エルナ 「……魔法が解けたわ」


マックス「そらよかったな」


エルナ 「魔法は水で洗えば落ちるのね。覚えておかなくちゃ」


マックス「その前に変なもんに触るのをやめろ」


エルナ 「あんなに綺麗なんだもの。触れたくもなるわ」


マックス「明らかに不自然だったろ。

     こんな暗い森の中に、あんな鮮やかな花があるなんてよ」


エルナ 「言われてみればそうね」


マックス「呑気だな、お前は」


エルナ 「それじゃあ、先に進みましょう」


 森の奥に進んでいく。
 そこに巨大な動物たちが出現した。

 


エルナ 「まぁ……!」


マックス「おいおい、正気か?」


エルナ 「巨大な動物よ! あれはウサギかしら?」


マックス「なんでもいいから逃げるぞ」


エルナ 「どうして? あんなに可愛いのに」


マックス「気付いてねぇのか」


エルナ 「ん……? まぁ、巨大なクマだわ!」


マックス「わかったなら早く逃げるぞ」


エルナ 「でも可愛いわよ?」


マックス「死にてぇなら置いてく」


エルナ 「守ってくれるんでしょう?」


マックス「だったら黙ってこっち来い!」


 エルナが引っ張られ、元いた場所にクマが突撃する。

 


エルナ 「きゃっ」


マックス「だから言ったろ」


エルナ 「……クマって血の気が多いのね」


マックス「口開くな。舌噛むぞ」


エルナ 「ま、待って!」


マックス「どうした」


エルナ 「あっちに小さい黒猫がいるわ!」


マックス「黒猫?」


エルナ 「えぇ! 向こうまで連れていって!」


マックス「馬鹿言うな。逃げるのが先だ」


エルナ 「ダメよ! 黒猫がつぶれちゃう!」


マックス「はぁ……。ったく。しょうがねぇな」


 走るマックス。連れられるエルナ。突っ込んでくるクマ。

 


エルナ 「こっちよ、猫ちゃん!」


マックス「おい、危ねぇって」


リーゼ(黒猫)「……愚かな人間だ」


エルナ 「あら、あなたお話ができるの?」


リーゼ 「当たり前だろう」


 リーゼロッテが元の姿に戻る。

 


エルナ 「あら、あなた黒猫じゃなくて女の子だったのね」


リーゼ 「なんだ貴様は。力の抜ける奴だな」

 


 リーゼロッテの指ぱっちんで動物が消える。

 


エルナ 「まぁ、動物たちがいなくなったわ!」


マックス「お前が魔女ってやつか」


リーゼ 「だったら何だ」


エルナ 「あなたが魔女様? わたし、あなたに会いたかったの!」


リーゼ 「はぁ?」


エルナ 「わたしの名前はエルナよ。あなたは?」


リーゼ 「……リーゼロッテだ」


エルナ 「リーゼロッテ! 素敵な名前ね。

     さっきの動物や、お花で浮いたのもあなたの魔法?」


リーゼ 「そうだが。それが何だ」


エルナ 「すごいわ! さすが魔女様ね!」


リーゼ 「……それで、私に何の用だ」


エルナ 「あなたとお友達になりたいの」


リーゼ 「はぁ? 嘘をつくな」


エルナ 「嘘じゃないわ。魔女様には嘘を見抜く力はないの?」


リーゼ 「い、いや、それくらい、わかる」


エルナ 「だったら嘘じゃないってわかってくれるでしょう?」


マックス「本気だぞ、そいつは」


リーゼ 「……友達になって、どうするつもりだ」


エルナ 「そうねぇ……。まずはお茶がしたいわ。
     それから、一緒に冒険に出ましょう!」


マックス「それ絶対俺を含んでるだろ」


エルナ 「当たり前じゃない。マックスだってお友達よ」


リーゼ 「お茶や冒険に何の意味があるんだ」


エルナ 「まだわからない? あなたと仲良くなりたいの」


リーゼ 「仲良く……?」


エルナ 「えぇ、そうよ」


リーゼ 「私は人間と仲良くするつもりはない」


エルナ 「まぁ、どうして?」


リーゼ 「人間は魔法目当てで寄ってくるくせに最後は必ず恐れて去っていく」


エルナ 「わたしがそうじゃないって分かれば、仲良くしてくれる?」


リーゼ 「そうだな。考えてやってもいい」


エルナ 「それじゃあそれを証明するためにも、これから一緒にいてもらわないとね」


リーゼ 「……私は今丸め込まれているのか?」


マックス「諦めろ。そいつは一度決めたらしつこいからな」


エルナ 「ふふ、よろしくね。リーゼロッテ」


リーゼ 「……よくわからんが、まぁいいぞ」

【町外れの倉庫的な感じの場所】

 エルナがマックスの元へ駆け寄る。
 その後ろには、リーゼロッテ。

 


エルナ 「マックス!」


マックス「(重いため息)」


エルナ 「あら、どうしたの?」


マックス「友達ができたんなら、もう俺んとこ来なくてもいいだろ」


エルナ 「やだ、拗ねてるの? リーゼロッテもお友達だけど、あなたもお友達よ」


リーゼ 「そうだ。諦めろ」


マックス「お前らなぁ」


エルナ 「それより、今日は幽霊屋敷の噂を聞いて来たのよ!
     みんなで行きましょう」


リーゼ 「私は構わん」


マックス「今度は幽霊屋敷かよ」


エルナ 「一緒に行ってくれるでしょう?」


マックス「……ったく。しょうがねぇな」


エルナ 「ふふ、諦めが早くなってきたわね」


リーゼ 「賢明だな」


マックス「うるせぇな」


エルナ 「それじゃあ、行きましょう!」

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