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月子堂プロット交換会

​作品一覧

双子月の戯れ

執筆

 烏丸 様

プロット

 灰城荊 様

『運命なんて、巡り合わせなんて、一ミリも信じていなかった――貴方に出逢うまでは。』

 いつも通りの日常をいつも通りに全うする。学校で授業を受けて部活に精を出して、帰りに本屋へ寄る。新しい喫茶店に寄って、誰かとぶつかって荷物をぶちまけて仕舞うことも日常の一部、だった筈。
「……ぇっ」
 一息つこうと、お店の一番角の席へと腰を落ち着かせ、本を開く。見慣れた深緑のブックカバー、枯野色の頁と頁の間に挟まれた見慣れぬワインレッドの三日月。

本編  プロット

ドーリー・ロット・ドリーム

執筆

 萌芽つゆり 様

プロット

 紅月シオン 様

私は、ひどく矛盾した人間だと思う。
 丹鳳家の娘として――すでに苔が生えたような朽ち果てた家名を守りたい両親のもとに産まれてた時点で、自分の運命は決まっていた。丹鳳家のために生きて、親に決められた結婚をして、子どもを産んで、子どもにもそういう生き方が幸せなのだと教えて、老いて死んでいく。私の人生はそういうものだと思っていた。操り人形も同然。何も変わらない、変えられない、そもそも他の生き方を選びようがない。もしかしたら昔は、両親に逆らってやろうとか、自分らしく生きようとしたこともあったかもしれないけど――結局十七歳の私は、敷かれたレールの上を淡々と歩いている。

本編  プロット

ぼくがヒーローになるまで。

執筆

 珠樹 様

プロット

​ さんかくぼうし 様

 僕の好きなもの。

 お母さんの作るハンバーグ。国語の授業。昼休みの間の静かな図書室。理科の実験。お父さんと行く映画館。両の手の指を使って数えてもまだまだ足りないけれど、一番は絶対に譲れない。

 僕が一番好きなのは、みんなを救う、カッコいいヒーローだ。

「放課後、サッカーする人!」

 

 帰りの会が終わった後の掃除中、教壇の上で佐藤君が箒を振り回して叫ぶ。

本編  プロット

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執筆

 大日本小説委員会 様

プロット

​ 設楽える 様

 

​本編  プロット

夢に現に。

執筆

 餅擬き 様

プロット

​ 珠樹 様

 最近、やたらとはっきりとした夢を見る。

 どんな夢かと問われるとはっきり伝えられる程に鮮明な夢だ。

 まず、私には社会人になってからかれこれ4年もお付き合い、しかも1年前から同棲を始めた恋人がいる。
 とても出来た良い男性で、だけど少し甘えん坊な可愛い元後輩である。
 告白は彼からだった。最初は少しだが歳の差で考え方が違いイザコザができてしまうのではと危惧してお断りしたが彼はそれでも嬉しいぐらいにアタックしてくれて、とうとう折れて付き合うことになった。

本編  プロット

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執筆

 設楽える 様

プロット

​ 水先れん 様

​本編  プロット

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執筆

 水先れん 様

プロット

​ 大日本小説委員会 様

​本編  プロット

流星の魔法使い

執筆

 花月小鞠

プロット

​ 秋月榎莫 様

 青い空に連なる鉄塔。その傍を走る列車の窓から、ノエルは感嘆の声を上げていた。

「鉄塔がぶわーってなってますよ、師匠!」

「おうおう。よかったな」

 興味なさそうな返答に視線を移すと、真っ黒な髪をした男が欠伸をしながらぼんやりと外を見ていた。これはノエルの師匠であるジュードだ。

「師匠、次の街はどんなところなんですか?」

 ノエルの質問に、ジュードは窓の外を眺めたまま答える。

「星の綺麗な街らしいな」

「へぇー!」

 瞳を輝かせるノエル。予想していたのか、ジュードがノエルを一瞥してふっと笑う。

本編  プロット

Marionette diva

執筆

 迂祁 様

プロット

​ 萌芽つゆり 様

とあるものの日記より


 月 日

 今日から独り暮らし。
 荷物をいくらかほどいたが、思ったよりも早く終わってしまった。
 まああんな家にいたのでは、自分のものを持っているというのは難しいことだ。
 私物の中で一番大切にしていたギターも、何とか傷つけられることなく守り抜き、ここまで持って来れた。
 だめだ。もう眠い。今日はここまでにして寝よう。

本編  プロット

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執筆

 星帆鈴 様

プロット

​ 餅擬き 様

​本編  プロット

おぼえている繋がり

執筆

 mee 様

プロット

​ 花月小鞠

「――あ」

 

 その、零れるようなたった一言が、ぼくたちを結び付けた。

 あの日ぼくの勇気がすこしでも足りなかったら。風向きが違ってぼくの呟きがきみに聞こえなかったら。きみが振り返る勇気を持っていなかったのなら。

 ほんの些細な違いで、人と人とは、出会ったり、出会わなかったりする。

 だから、たぶんあの一夏の思い出は、とんでもなく下らなくてどうってことないぼくたちのエピソードは、それでもひとつの奇跡なのだ。

本編  プロット

ナイト・ドレス

執筆

 ろくはら 様

プロット

​ 星帆鈴 様

 最新鋭を詰め込んだ宝箱だと、船長が誇らしげに話したその翌週に、レジーナ号は海底に抱かれて眠った。
 人々が涙を流したのは、彼女の永遠の眠りがあまりにも早かったからか、それともその客船に乗り合わせた娘、息子、あるいは妻、あるいは夫……総勢五五〇名の命が失われた事からか、よくわからない哀しみが小さな港町全体にのしかかっている。喪服が世界一似合わない漁師が、海に向かって花束を投げるとまた後ろで女がさめざめと泣いた。

本編  プロット

天気雨の下で

執筆

 YLK先輩 様

プロット

​ 潮見 様

 東京都心のビル群に、割り込むように佇む緑の一角。そこにその祠はあった。
 朱色の鳥居も、板張りの屋根を直す者を失い幾星霜。新月の上ったある天気雨の夜、鎮座する狐の石像に身を隠すように2匹の狐が集った。

「疲れたわー」
「聞きましたよ、鈴さん。またカレシさんと別れたんですって?」

 はあ、と一匹の狐がため息を吐いた。

本編  プロット

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執筆

 踊ぽるか 様

プロット

​ mee 様

​本編  プロット

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執筆

 飛龍さつき 様

プロット

​ 踊ぽるか 様

​本編  プロット

ミルクパズル

執筆

 ぷよつー 様

プロット

​ 烏丸 様

 ミルクピース。それは人が心に持つ真っ白なミルクパズルのピース。人の純真、大切に守られるべき存在。しかし、ひとたび味わったことのない絶望を感じると、そのピースはぽろっと心から剥がれ落ちてしまい、ミルクに回収されてしまう。そうなるともうその人はピースを返してもらえない限りあの頃の純真には戻れない。

 きぃきぃと風で揺れる鉄の柵に、少女は手をかけて青空を仰ぎ見ている。やや茶色がかったショートボブの髪は風でボサボサになり、少し短めのスカートを手で押さえて、長いまつげの下にある鳶色の瞳を少女はすっと閉じた。

(あぁ、今日も小谷は宇宙と交信をしている)

本編  プロット

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執筆

 流沢藍蓮 様

プロット

​ ぷよつー 様

​本編  プロット

赤子と天秤

執筆

 秋月榎莫 様

プロット

​ 飛龍さつき 様

……数か月前に、行きずりの男とセックスした。

 

別にどこが好みというわけでもない。ただ単に、互いの性欲を発散したい気持ちが合わさっただけだった。もう相手の顔も覚えていない。

 

そして数日前、自分が妊娠していることが発覚した。

 

私は避妊しなかった軽率さを心から後悔した。なぜなら、赤子が心底嫌いだからだ。

本編  プロット

深海に光る

執筆

 潮見 様

プロット

​ ろくはら 様

 四枚の翼を持つ傍仕えの智天使が、衣擦れの音をさせながら金の盆を捧げ持ち現れた時、そのお方は珍しいものが来た、とお思いになった。
 金の盆に載せられたのは封蝋で止められた羊皮紙で、その印章を見れば、誰からのものであるかはすぐにおわかりになった。
 くゆる煙の、甘だるい香り。
 全知全能の神であらせられるゼウス様には弟君が二柱、おありになる。双子の弟君で、死後の世界をお治めになるハデス様。そして海の世界をお治めになる末の弟君であるポセイドン様であらせられる。

本編  プロット

虹色の約束

執筆

 灰城荊 様

プロット

​ 流沢藍蓮 様

「こんななにもない村に、なにしにきたんだよ?」

 

 宿を探していた旅人風の少年に、同い年くらいの少年が話しかけた。

 

「お前、ここの村のヤツ?」

「そうだけど」

 

 背負い袋と短剣という軽装はどう見ても長旅をする装備ではなく、聞けば旅人の少年は隣村から山を一つ越えてきたのだそう。村人の少年は青い目を瞬かせて首を傾げ、だから何だと言いたげにしている。

本編  プロット

林檎色の幻痛

執筆

 さんかくぼうし 様

プロット

​ 迂祁 様

小春日和が秋の季語だと分かっている人はどれくらいいるのだろう。誤用されて久しい言葉に遥加は想いを馳せる。小春日和だけに留まらない。何気ない表現の一つ一つでさえそうだ。昔の日本人が大切にして、受け継がれてきた宝石のような言葉の有り難みがわからない、そんな現代の人間がもどかしくて仕方ないと、自分もその一員であることも相まって臍を噛む。
現代の人間なんて碌でもない。社会が整備されて形になってきて、ヒエラルキーが横行するようになった世の中では、いつも誰かしらが偉ぶっている。

本編  プロット

マテリアルアトリビュート

執筆

 紅月シオン 様

プロット

​ YLK先輩 様

気が付けばオレはどこかのベッドで目を覚ました。
直前に何があったのか全く覚えていないが、体の至る所が合唱している。
軽く腕を上げることすらままならないオレが目を覚ましたのに気が付いたのか、傍で看護していただろう金髪の女性が驚いた。
「あ、大丈夫ですか?」
「うぅ、滅茶苦茶きついな」
「そうですよね、今湿布を変えますので少しだけ我慢してください」
「ありがとう、えっと?」
「名前ですか?私はミキ。ここの教会で司祭をしています」
「ミキさんですか、オレはアカツキって言います」
ミキは腕の湿布をゆっくりと剥がすと、近くにあった救急箱らしき箱から新たな湿布を取り出し腕に貼りなおした。

本編  プロット

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